生存戦略模索blog

うつ病、発達障害から退職した元公務員が人生の再構築を模索するブログ

「若い人は選挙に行こう!」とよく言うけれど、むしろ選挙に出るべき

就職先として政治家はいかがですか?

 

こんばんは、umashikaです。

 

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 遅ればせながら、あけましておめでとうございます。

 皆様、新たな年をどのように迎えましたでしょうか。

 私は、元旦に妻と初詣に行き、久々に車で遠出をしました。

 病気になってからは、なかなか妻と二人で遠くに出かけることも減っていたので、窓の外の景色も新鮮で、妻にとっても良いリフレッシュになったと思います。オミクジは残念ながら小吉ではありましたが、昨年一年の内容が、凶のような一年だったので、欲張らず、むしろありがたいくらいですw

 

 やはり、年が明けると、自分自身は何も前日までと変わっていないのに、2016年のクソみたいな一年を全てリセットして、何か良いことがたくさん起こりそうな、そんな気分になりました。そうなるよう、日々大切に過ごしていきたいと気を引き締めております。

 

人々の政治的無関心も無理はない

 アメリカではトランプ氏が当選しました。また、イギリスでもEU離脱を問う国民投票が可決されたり、ヨーロッパ各国では保護主義、自国主義を唱える極右政党が躍進しています。全世界的に社会の不満は臨界点に達しようとしています。

 

「政治はお上の仕事」「自分1人が投票したとしても何も変わらない」と、思っている人は多くいらっしゃるでしょう。国政選挙、地方選挙の投票率の低さに現れています。今の国の状況を思えば無理もありません。下記はサラリーマンの年収の推移ですが、平成9年を100とすると、平成26年には88の水準まで減少しています。近年、企業は増収増益を記録していますが、それが企業の内部留保に回ったり、若しくは海外への投資へ向いたりしていて十分に労働者へ還元されていない現状といえるでしょう。

 

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サラリーマン平均年収の推移(平成26年)-年収ラボ

 

 サラリーマンの収入は長期的にみて減少傾向にあることが分かりました。次に、日本の国民負担率の推移を見てみましょう。国民負担率とは、国民所得に占める社会保障負担と租税負担の合計の割合をいいます。所得から国民負担を控除した残りが、自由に使える可処分所得ということになります。

消費税は今や8%ですし、更に10%へ増税予定です。また、我が国の超高齢社会を受けて、年金や医療保険などの社会保障費も上昇を続けています。少子高齢化が解消されない限り、租税負担と社会保障負担は今後も上昇することとなるでしょう。まぁ、少子高齢化がストップすることはないので、上昇し続けるということです。

 以下の表は、1970年から10年ごとの国民負担率及びその内訳の推移を表しています。人口増加社会、高度成長を謳歌していた1970年と比べて、2016年の国民負担率は2倍に迫る数値となっております。今はお金を稼いでも、約半分は強制的に徴収され、手元に残る自由なお金は約半分と考えることができます。

 

 1970年1980年1990年2000年2010年2016年
国民負担率 24.3% 30.5% 38.4% 37.0% 38.5% 43.9%
租税負担率 18.9% 21.7% 27.7% 23.5% 22.1% 26.1%
社会保障負担率 5.4% 8.8% 10.6% 13.5% 16.3% 17.8%
個人所得課税 5.2% 7.4% 10.5% 7.6% 7.0% 8.1%
法人所得課税 6.4% 6.7% 8.4% 5.0% 4.4% 5.7%
消費課税 5.4% 5.0% 5.2% 7.0% 7.0% 8.8%
資産課税等 1.8% 2.6% 3.6% 3.9% 3.8% 3.6%

国民負担率及び租税負担率の推移(対国民所得比) : 財務省

 

 つまり、今は昔と比べて、「給料は減っているのに、払うべき負担は増えていて、その結果、可処分所得は激減している」といえるでしょう。このような状況で、「消費しろ」「モノを買え」と言われても無理ですし、皆、自分を守るのに必死です。僅かなお金を貯蓄に回したり(日本人は元々投資をしない性質でもありますが)、もしくは貯蓄に回す余裕すらない家計も多いことでしょう。ない袖は振れないのです。ですから、「今の若者は車を買わない、結婚しない、欲がなくて大人しくてけしからん。」という論調は全く的外れで時代錯誤も甚だしく、理解に苦しみます。

 

若い人の利益が蔑ろにされる理由

 昨今、メディアでは''若者の貧困"問題について取り上げられることが多くなりました。給食費が払えない家庭、保育園不足の問題、奨学金を借りている大学生の割合が50%を突破、お金がないから結婚が出来ない等々、枚挙に暇がありません。

 若者、とりわけ多くが学生である10代、働き盛りで子育て世代である20代や30代の利益よりも、少子高齢社会とはいえ、必要以上にご年配の方に配慮した社会構造、制度になっていると感じることはないでしょうか? 「若者の境遇が悪くても構わない」というようにもとれる現状の国の姿勢は、更なる若者の貧困を拡大させ、その結果、結婚離れは加速し、少子化に拍車をかけます。当然、労働力が減少し、日本の国力の減退に帰結します。

 そんなことは、日本一の頭脳の集団である、財務省をはじめその他エリート官僚、内閣が解らないはずがありません。では、なぜここまで老人優遇、若者冷遇の社会が放置されるのでしょうか。

 

 その原因は、老人ばかりが選挙に行くからに他なりません。下図をご覧ください。

 

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総務省|国政選挙の年代別投票率の推移について

  衆議院議員選挙における各年代の投票率の推移を表したグラフ及び表です。全体的に投票率は低下傾向にあるものの、近時になればなるほど20代や30代の若者、子育て世代層と50代、60代、70代の差が広がっていることが判ります。この状況では、老人重視の立候補者ばかりが当選するのは必然なのです。これは衆議院選挙の推移ではありますが、地方議会レベルでも全く同じ状況と考えて差し支えありません。

 

 続いて、下図をご覧ください。

 

http://www.katsuseijika.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/05/140514_02-514x530.png 

過去の統一地方選挙 年齢別当選者数をグラフ化すると? | 議員・政治家のホームページ制作(作成)なら、勝つ!政治家.comでネット選挙対策

  

図は、平成15年、19年、23年に行われた統一地方選挙のうち、市議会議員選挙の当選者の年齢分布を表した図です。最近の選挙になればなるほど、当選者の高齢化が進んでいることが判ります。

 さらに下図は、国政選挙、都道県議会議員選挙、市区議会議員選挙、町村議会議員選挙毎の、当選者の年齢別構成比です。

  20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80歳~
衆議院 0.2% 8.9% 26.8% 33.3% 22.9% 7.9% 0%
参議院 6.1% 20.6% 37.6% 23.5% 11.9% 0%
都道府県議会 0.1% 6.3% 18.0% 27.2% 36.5% 11.2% 0.1%
市区議会 0.5% 5.1% 11.9% 27.3% 43.9% 11.0% 0.3%
町村議会 0.1% 1.8% 5.3% 19.4% 53.2% 19.2% 0.9% 


<18歳選挙権と地方>(2) 若者代表を議会に送りだそう! | 地方議会ニュース

 

  20歳代と30歳代の議員は全ての選挙で1桁台であり、極端に少ないことが判ります。

 これでは、日本社会の全年代の利益を満遍なく政策に反映させることは不可能です。

 いくら少子高齢社会といえども、60歳と同じくらい30歳も存在しているのです。

http://www.stat.go.jp/data/nihon/img/g150402.gif

参考:統計局ホームページ/日本の統計−4 我が国の人口ピラミッド

 

失うモノがない者ほど、選挙に出るべき 

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 確かに、政務活動費の不正請求問題や、一般とあまりにもかけ離れた感覚の失言、失政の連続であれば、「どうせ誰がやっても同じだ」という感覚に陥り、投票する気が失せるのももっともです。それに、世の中を変えようにも、日本は間接民主制を採っていますから、投票によって自分の声を政治に反映させるのは、難しい現実もあります。

 では、投票ではなく(投票も勿論大事ですが)、立候補して自分が政治家になり、もっとダイレクトに影響を与えることが出来るのではないでしょうか?

 

 選挙に出るにはそれなりの「お金」「人脈」「経験」が必要だと考える人も多いでしょう。そして「自分で政策を考え、それを訴えていく」ことは非常に難しいと考えているかもしれません。しかし、実はそうでもありません。

実に5人に4人が当選する、超低倍率な市区町議会議員選挙

 意外かもしれませんが、実に市区町村議員選挙の平均当選率は80%を超えています。これは、5人に4人が当選することを意味します。倍率にして1.2倍台。

 これは、皆様が潜り抜けてきた大学受験や就職試験の方が圧倒的に難しいことを意味します。

 確かに、その地域で7期とか8期とか議員をやっている強固な地盤を持った候補者も存在しますが、一部です。市議会議員レベルだと、国会議員のように立派な血筋だとか経歴がある人々ばかりでもなく、選挙前の新聞で候補者の学歴や経歴を参照すると分かることですが、地元の工業高校卒とか、地元の私立大学中退だとか、無職、そんな人ばかりが立候補しています。そして、投票に行けば、否が応でも、私たちはこの人たちの中から選ばなければなりません。地方議員なんてそのようなレベルなのです。

 

市区議会議員の供託金は30万円、町村議員は無料

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 「選挙はお金がかかる」と、よく耳にします。確かに、完全に持ち出しナシで選挙活動するのは難しいかもしれません。しかし、衆議院議員選挙や都道府県知事選挙の供託金が300万円掛かるのに対し、市議会議員や、東京都特別区議会議員の選挙の供託金は、30万円ポッチです(政令市は50万円)。これを高いとみるか安いとみるかは人それぞれでしょうが、当選後の報酬(後述)、権限の大きさ、労働強度やステータスを考えると、個人的には非常に安いと考えます。

 また、供託金は当選するか、落選しても最低当選ラインの票数の1/10以上の票を獲得すれば返還されます。

 これは、例えば40人が定数の市で、最低得票数が2000票だとすれば、200票未満しか獲得できなかった場合に、預けた30万円が没収されるということで、実際に市区議会議員レベルの選挙で供託金没収される方はほとんどいないのが現状です。

 

選挙活動費はほとんど公費で賄われる

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 供託金の他にも、選挙に際してお金が掛かると思われがちなのが、選挙カーや選挙期間中に有権者に送付することが出来るハガキ、掲示用ポスター、タスキ、のぼり、これらのものは全て公費、つまり税金で賄うことができます。

 

市議会議員の報酬はいくら?

 市議会議員の議員報酬、つまり自治体から払われる給料も気になるところだと思います。この点、自治体によってピンキリです。しかし、大体自治体の規模に正比例しているといえます。最上位は名古屋市議会議員の99万円で、最下位は長野県平谷村の8万4800円です。

 これに加え、大体年に3.15ヶ月分の期末手当(ボーナス)が加わります。これによりおおよその年収を計算することができるでしょう。

 各自治体の詳しい報酬額については、下記のサイトをご覧下さい。

area-info.jpn.org

 また、給料ではありませんが、議員活動に関する費用の支出について、自治体により額は大きく異なりますが、政務活動費を充てることが出来ます。

 

議員のステータスは高い

 議員は、議会がある期間以外は様々な行事に出席をしたり、地域の問題点を探したり、住民からの意見を収集、分析し、政策に反映させる為の活動を行っています。そして、議会の場において、住民から選ばれた住民の代表として、現場で様々な施策を実施している行政の公務員側の代表(県であれば知事、市であれば市長、又は各部の部長)に対して、施策の実施状況や、達成度、今後の見通しなどを質問します。

 

 県や市の部長クラスでも住民の代表である議員には頭が上がらず、実際に議員の力が強いです。私も、地方公務員として勤務していた経験から、上司とともに議員への質問取り(実際に議会の場で質問される前に、議員から、どのような質問をするかをヒアリングしに行くこと。これにより、質問当日までに職員で答弁書を作成します。)に同行したことがありますが、職員は例え部長や課長クラスでも、ただただ議員の前ではペコペコするしかありません。

 

 税金を納めている住民の代表なんですから、その予算を執行する立場にある行政公務員が適切に事業を遂行しているか、使い道について民意を反映させようとする立場であるのですから、当然といえば当然です。

 

極めて現実的な議員になるという選択

 いかがだったでしょうか。市区議会議員になることが、決して難しいことではなく、現実的な選択であることを説明してまいりました。

 最近は、公職選挙法が改正されたことにより、従来20歳以上に与えられていた選挙権が18歳以上の者にも与えられ、更にブログやSNSなど、インターネットを政治活動に用いることが認められました。これにより、今までより選挙活動の低コスト化と若者への訴求が容易になったと考えます。

 

 是非、この現実的な選択を真剣に検討していただき、志高い20代、30代の若い世代の方々が今の政治に風穴を開けることを期待したいと思います。まぁ、志は高くなくても良いと思います。現状の市議会議員のレベルは上でも述べた通りです。ごく普通のおっちゃん、おばちゃんが選挙活動の時にだけ「福祉を充実!」「お年寄りも住みやすい街に!」と極めて抽象的な美辞麗句を並べて当選しています。

 よっぽど、「普通の感覚の普通の若い世代が、普通に望む社会を自分の言葉で訴える方」が、より良い議会、政治、社会にする上で有益なことだと、個人的には考えています。

 

 最後に、私が度肝を抜かれた、上野竜太郎さんという方を紹介したいと思います。

 

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 彼は、2013年に行われた千葉市議会議員選挙に、当時25歳、ニートの肩書で立候補し、惜敗した人物です。約1400票を獲得し、かなりの支持を集めることが出来ました。政策もしっかりしています。Twitterで話題になり全国的に拡散、選挙費用も8,000円しか掛けなかった超エコ選挙でも、ある程度結果が出たことに新しい政治の可能性を感じました。全国的にこの動きが広がり、り若い人が報われ、蔑ろにされない社会の実現を願うばかりです。

 

 最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。

 皆さまにとって素晴らしい一年になりますことを、お祈り申し上げます。