税理士や司法書士も! 無試験で難関国家資格を取得する裏技的方法
おはようございます、umashikaです。
最近は弁護士や公認会計士など難関国家資格を取得したら「一生安泰」といわれた時代は過ぎ去りました。現在は士業はどれも競争が激しくなっており、資格とあわせて営業力や、他と差別化できる要素がなければ、生き残るのは難しい時代に突入したといえます。
とはいっても、
- 「何もないよりはあった方が良い」
- 「転職に活かしたい」
- 「自己啓発」
など、様々な動機で資格取得に励む社会人や学生の方は未だに多いと思います。
例えば、税理士はかなりの難関試験ですが、一生有効の科目合格制が導入されているため、会社員をしながら長期戦で目指している方も多い人気資格です。
そんな様々な難関国家資格を、通常の試験を受けないで取得するウラワザ的方法があります。
本日は、その方法について簡単に紹介したいと思います。
ある特定の公務員で''いるだけ''で、無試験で難関国家資格を取得できる!
実はその方法というのは、ある特定の公務員として、特定の年数勤務することのみによって、通常の国家試験を受けずに、資格を取得することが認められているものがあります。また、完全に無試験ではないものの、公務員として勤務するだけでかなりの優遇措置を受けられる資格についても併せて紹介したいと思います。
裏技①:国税職員(23年勤務)⇒無試験で税理士
税のプロフェッショナルの税理士ですから、その試験もかなり難関となっています。試験は全部で5科目です。その内容は、会計学に属する科目(簿記論および財務諸表論)の2科目と、税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、住民税または事業税、固定資産税)から選択した3科目になっています。
科目合格率は平成27年度試験では以下のようになっています。どの科目も10%から20%ほどと、狭き門となっています。一度合格した科目は、一生涯有効です。
http://careergarden.jp/zeirishi/exam/
ここで根拠法令である税理士法第8条第10号をみてみましょう。
第八条 次の各号のいずれかに該当する者に対しては、その申情により、税理士試験において当該各号に掲げる科目の試験を免除する。
(一~九省略)
十 次に掲げる者で、官公署における国税若しくは地方税に関する事務を管理し、若しくは監督することを職務とする職又は国税若しくは地方税に関する高度の知識若しくは経験を必要とする事務を処理することを職務とする職として財務省令で定めるものに在職した期間が通算して五年以上になるもののうち、国税審議会の指定した研修(財務省令で定める要件を満たす研修のうち、国税審議会が税理士試験の試験科目のうち会計学に属する科目について前条第一項に規定する成績を得た者が有する学識と同程度のものを習得することができるものと認めて指定したものをいう。)を修了した者については、会計学に属する科目
要するに、国税職員として23年勤務したものは試験を全て免除し、税理士登録できますよー!と言っています。
ですから、税理士試験よりも簡単な、国税の職員として勤務し23年経過したら税理士の資格を得ることができます。
もっとも、法律の細かいことをいえば、国税の職員として10年勤務(国税徴収官は15年)すれば、税理士試験5科目のうち、税法3科目が免除になりますので、会計学に関する科目(「簿記論」及び「財務諸表論」)の2科目の取得すれば10年で税理士になることも可能です。
まずは国税職員として働き実務経験を積みながら、試験勉強をするのも良いと思います。最悪、ずっと公務員として働きながら遅くても23年で税理士になることができます。
他にも、税理士は会計大学院を修了すれば、法律科目2科目が免除になりますので、3科目に合格して税理士になる方法もあります(昔は会計と法律の大学院に2回行って、全科目免除する方法もありましたが、現在は廃止されています)。
裏技②:裁判所職員、法務局職員、検察事務官(10年勤務)⇒無試験で司法書士
試験科目は憲法や民法、刑法など、司法試験や行政書士試験など、他の法律資格試験と共通の科目もあるものの、不動産登記法、商業登記法、供託法などが司法書士の独自の科目となっています。
また、司法書士はここ10年は常に合格率が3%台という超狭き門という状況が続いており、法律系資格の中では、司法試験に次ぐ難関といえます。
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ここで、根拠法令司法書士法第4条第2号をみてみましょう。
第四条 次の各号のいずれかに該当する者は、司法書士となる資格を有する。
一 司法書士試験に合格した者
2号にバッチリそのまま書いてありますね。裁判所事務官、裁判所書記官は裁判所職員で、特別国家公務員です。国家一般職試験と異なり、裁判所職員採用試験が独自に行われていますので、そちらを受験します。また、法務事務官というのは法務局の職員であり、これは国家一般職(旧国家Ⅱ種試験)を受け、法務局に官庁訪問をして採用されることとなります。検察事務官は、検察庁に勤務する職員であり、これも国家一般職試験を受けて、自分で官庁訪問をし採用という流れになります。
10年で難関の司法書士資格を取得できるとすれば、かなり美味しいのではないでしょうか?
裏技③:県庁や市役所、その他国家公務員行政職(17年勤務)⇒無試験で行政書士
これは、裏技①や裏技②に比べると魅力度は下がるかもしれません。
行政書士は、公官庁に提出する書類の作成を代理して行う士業です。確かに、行政に対する許認可などの申請書類は複雑なものも多く、知識がない方からすれば作成するのも面倒くさいということがあるかもしれません。しかしながら現在はインターネットで必要な情報が瞬時に手に入りますから、昔ほど存在意義がなくなっている資格ではないか、と個人的には考えます。
そうはいっても、ここ10年ほどで行政書士試験にはロースクール生の流入が激しく、難易度が上昇しているのも確かです。ただし、公務員試験(範囲は法律科目の他にも経済系科目、政治学、行政学、一般教養、知能問題など範囲が広い)に比べて、法律科目以外は試験の難易度もさほど変わらないと思われるので、これは公務員になってオマケでついてくるくらいの認識で良いでしょう。特にコストパフォーマンスは高くはなさそうです。
行政書士試験の合格率は近年10%以下で推移していましたが、平成27年度に試験改革以来の高い合格率となりました。平成28年度はまた9%に少し低下しました。
ここで、根拠法令である行政書士法第2条を見てみましょう。
次のいずれかに該当する方は、「行政書士となる資格」があります。
行政書士法第2条
- 行政書士試験に合格した者
- 弁護士となる資格を有する者
- 弁理士となる資格を有する者
- 公認会計士となる資格を有する者
- 税理士となる資格を有する者
- 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間及び特定独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第2項に規定する特定独立行政法人をいう。以下同じ。)又は特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第2項に規定する特定地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員又は職員として行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して20年以上(学校教育法(昭和22年法律第26号)による高等学校を卒業した者その他同法第90条に規定する者にあっては17年以上)になる者
第6号によると、国家公務員か地方公務員を17年やったら行政書士あげるよー!と書いています。
また、他にも弁護士、弁理士、公認会計士、税理士の資格を有する者は、無試験で行政書士登録をすることができます。このことからも、行政書士は上位の法律資格、会計資格の下位資格ということができると思います。但し、司法書士は行政書士がオマケでついてきません。
裏技④:特許庁職員(審査官として7年勤務)⇒無試験で弁理士
弁理士は文系の方には馴染みの薄い資格かもしれませんが、特許や商標などの知的財産権の取得について、特許庁への申請書類を作成する仕事を担う資格です。
理系の最高峰資格ともいわれていますが、仕事は理系出身者でないとこなすのが難しい(技術的な事項について高度な知識を有するため)一方、試験は特許法や商標法、著作権法、不正競争防止法など、知的財産分野の法律の試験となるため、理系出身者にとってもとっつきにくい試験といえるでしょう。
合格率の推移は以下のとおりです。
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しかし、この難関試験にも、国家公務員総合職試験(旧1種試験)又は国家公務員一般職試験(旧2種試験)を経由して特許庁に入庁し、出願された申請内容を審査する審査官となれば7年で、弁理士試験を受けることなく弁理士登録が可能になります。
また、特筆すべきことに、現在特許庁は任期付き審査官の採用試験を毎年行っています。つまり正規職員ではなく、5年(更新1回可能)の期間限定で審査業務に従事する職員の採用試験です。ですから、この任期付き審査官として7年(更新は必要)勤務すれば、その間に完全に無試験で弁理士登録することも可能になりました。
正規の公務員にすらならなくても、無試験で弁理士になれます! これはかなり大きいのではないでしょうか。
難関資格取得を目指す方は、公務員として働きながら目指す道もある
いかがだったでしょうか。
裏技とはいっても、一応公務員試験には合格しなければならないのですが、それでも、最初から将来的に取得したい資格、たとえば税理士であれば、戦略的に国税専門官としてまずは就職し、並行して受験することも出来ます。税理士試験に受からなければ、あとはただ時間さえ経過すれば何れ無試験で取得することが出来ます。
また、司法書士になりたい方であれば、戦略的に裁判所職員として働きながら、並行して司法書士試験の受験勉強をし、たとえその後10年の間に司法書士試験に受からない場合でも、その時点で無試験で司法書士登録をすることが出来ます。
難関資格の取得を目指す方は、是非ご検討下さい。
以上、本日も最後までお読み下さり、ありがとうございました。