意外と面白い県庁マンの仕事
こんばんは、umashikaです。
(写真は都庁ですが、私は都庁職員だったわけではありません)
以前、私が国税職員だった時に経験した面白い仕事を以下の記事に書きましたが、今回は県庁職員としての経験を書いていこうと思います。
とりあえず県庁の仕事の概要
県はいわば霞が関の地方バージョン!
県庁の仕事は多岐にわたります。と、いうのも、国には一国全体の予算を司る財務省、外交を処理する外務省、経済政策などを立案、実行する経済産業省など、様々な中央官庁が存在します。
県庁は、いってみれば県レベルでそのような、財政、外交、経済政策、福祉政策、労働政策、農林業、漁業、土木、建築などありとあらゆる行政政策を網羅的に担う仕事です。
正に、ミニ・霞が関ということができると思います。
県庁の仕事の概要
県庁は県民から集めた税金と、国からもらうお金を財源として、ありとあらゆる事業(民間でいうプロジェクト)を抱えています。
そのお金は何千億円にものぼり、その予算を握っているのが、県の財務省である財政課です。各担当者は、次年度の事業のための予算の配分を受けるため、財政課に対して自分の事業の予算資料と事業スキーム図などを作成し、プレゼンを行います。
その際、この事業の必要性、非代替性、実現可能性、期待される効果などを説明します。
また、国のお金で実施するものに関しては、年度末に会計検査院の監査を受けなければならないので、特に厳しく説明を求められます。最終的に財政課が納得をしても、内閣府が認めなければ、没になってしまい、それまでの苦労は全て徒労に帰しますw
仕事の進め方
県の職員は、通常一人で複数の事業を抱えています。そして全庁の仕事は今は複雑多岐に渡り、全てを職員だけで実施するのが難しい現状があります。
そこで、事業毎に職員と共に効率的かつ効果的に事業を実施してくれる業者を競争入札によって選定します。
現在も、一応、随意契約(入札によらないで、任意の相手と契約すること)による選定も認められてはいるものの、要件が非常に厳しくなりました(絶対、この業者でないとこの事業は効果的に実施出来ないという理由が必要)。
やはり原則は入札によらなければなりません。公務の仕事も、現在は民間と同レベルの経済的合理性が強く要請されているといえます。
私は、商工業関係の部署のうち、特に製造業を振興するための課に所属していました。ですから、事業の性質上、一緒に仕事を進めていく相手となるのは、公社などの第三セクターや日系・外資のコンサル会社、電通や博報堂の子会社などの広告会社、銀行系シンクタンクなどが多かったです。
上記の民間企業と共に仕事を進めることで、ノウハウや経験を利用することができ、効率的かつ効果的に事業が進行することになります。
県庁の面白い仕事や面白かった出来事を紹介します
ここまで前置きが長くなってしまいましたw
まだ、読んで下さっている方、ありがとうございます。
①知事と直接話せる
これは、若い職員でも十分ありえます。
知事は非常に忙しく、常に何かしらのイベントや会合、また姉妹都市との外交など、分刻みでスケジュールが埋まっています。
もし、自分が担当している事業の中で、知事に出席してもらう必要がある場合、相当前から庁内のシステムで知事のスケジュールを確認し、僅かに空いている隙を狙って、知事レクの予約を入れます。
私も県の産業振興のためのまつりの運営を担当していて、その開会式に知事に出席してもらい、あいさつ文を読んでもらう予定だったので、知事レクをする必要がありました。
あ、ちなみにこの挨拶文や、新聞に掲載するための祝辞などは、全て職員が書いていますw
知事が庁内にいるときは、他の課もレクをするために控えていますので、一人15分ほどで手短に、イベントの概要と趣旨、知事に出席してもらう必要性、当日の段取りなどを説明しなければなりません。
知事も人間なので、県にある100課ほどの政策、事業の内容までこと細かに把握することは不可能です(当たり前ですが)。ですから、担当職員が当日のために資料を作成し、知事室に伺って説明をするのです。もっとも、私のようなぺーぺー職員の場合は、最低でも課長クラスの職員が同行します。
②地元を代表する企業経営者と話せる
私は商工業関係の部署にいたので、仕事で地元を代表する企業とご一緒することも多かったです。その際、打ち上げなどではその企業の社長が来ることもあり、酒の場ということもあり、私のようなぺーぺー職員にも色々なお話しをしてくれます。
例えば、県の業界の動向や、報道前ではあるものの、既に決定している新事業の展開についても伺うことが出来ます。
これも、いわば私が県の職員という立場であるから、話してくれるのであり、こういったことは役得といえるでしょう。
だから、たまにインサイダーなどに手を染めてしまう公務員がいるわけですねw
あとは土木関連の課にいる職員だったら、突然土地を買ったりとか(意味分かりますよね)w
③意外と海外出張がある
(写真は香港関連のプロジェクトの際、香港に行った時の打ち上げです)
意外に思われるかもしれませんが、県の職員は結構海外出張があります。これは、課によるのですが、商工業関係は最も海外出張が多い部署ですので、私も一年目から海外出張がありました。
私は海外関連はアジア市場向けの仕事をしていたこともあり、アジアへの出張が多かったです。ですから、香港の他には、台湾、中国、シンガポールに出張に行きました。
台湾では、地元企業と台湾企業のマッチング会を運営しました。空き時間には、台北のSOGOなどいくつかの日系百貨店に趣き、私たちの県の商品の取り扱い状況などをチェックしに行きました。
中国出張は、私たちの県に工場を立地したいという申し出があったためで、広州の企業を訪問、調整をしてきました。その後、実際に私たちの県の経済特区に立地することとなりました。
その他には、課の他の職員は、ニューヨーク、シリコンバレー(Facebook社にも行ったと言っていました)、イタリアのフィレンツェ、ミラノ万博、はたまたオセアニアの島国(エネルギー関係)に出張があったようです。
もちろん、国内出張はしょっちゅうです。私も3年間で30回くらい出張に行きました。
④大学との産学官連携プロジェクトに携われる
現在は、国をあげて産学官連携を推進しています。大学などの研究機関に蓄積している知や技術を、民間企業の製品開発に活かしていこうという試みです。
多くの国立大学にはTLO (Technology Licensing Organization / 技術移転機関)が設置されており、東京大学TLOなどは多くのベンチャービジネスを生んできました。
私たちも、地元の企業とTLOと連携して、電気自動車の開発と、ガソリン車を電気自動車にリノベーション(コンバートEV)する事業に携わっていました。
こうして、本来なら商業ベースに乗らなさそうでも、行政がお金を出せば、小さな地元企業でも有意な研究開発をする機会を得ることが出来、ノウハウや技術が蓄積していきます。
そういった意味で産学官連携は楽しいプロジェクトでした。
色んな仕事が出来る県庁
いかがだったでしょうか。「公務員の仕事はオフィスワークばかりでつまらない」というイメージがある方にとっては、意外だったのではないでしょうか。
地方には市場原理に任せるだけでは一瞬で淘汰される零細企業がたくさんあります。
経済の合理性という観点からすると、それが正しいのかもしれません。GDPもその方が大きくなります。
しかし、警察や消防などのサービスは、公務員がやらなければ誰も実施しませんし、仮に、民間企業が行うとして、お金がない人は警察や消防のサービスが受けられないというのでは、いかにも不合理です。
ですから、市場原理をすこし修正して、より多くの人にとってより良い社会にしていく仕事が、公務員の仕事なんじゃないかぁと、思います。
私みたいな社会不適合者ではなく、お金よりも公益のために仕事がしたいという方がいらっしゃいましたら、是非公務を目指してみてはいかがでしょうか。
本日もこんな長文・駄文にお付き合い下さり、ありがとうございました。